平成二十二年・村廻り画像集2(10/8・9・10・11・12)
毎年、秋祭りの前には播州一円、それに収まらないすこし遠方まで
多くの屋台蔵をお伺いし、祭り屋台の漆磨きをさせて頂いております。
おかげさまで年を追うごとにその数は増え、今年度は延べ94台にものぼりました。
有り難うございます。
全てではありませんがその折の様子を、ことしも懲りずにご紹介させていただきます。
こんかいはその2です。 その1は→こちら
10月8日(金)
あさ7時から薮田屋台を磨き始め、岩屋・酒井、と甲八幡に参じる村の屋台を廻らせていただきました。
こちらは四軒目、重国屋台です。
ケヤキの木目を愛でる透き漆塗りは井筒や四本柱に施すことが通例として殆どですが、こちらは勾欄周り・勾欄掛けに至るまでまで全て透き漆塗りです。
平成17年の漆塗り完成以来丸5年、よく色も抜けきったきれいな色に落ち着いています。もちろん肌は塗った当時のままとろんと、しっとりさを保っています。
完成時の色と比較頂けます。→重国屋台1
銘も誇らしげに、狭間彫刻はすでに付けられていました。正角彫刻は小河義保師によるものです。
斗組は肘木(ひじき)のみ塗箔(ぬりはく)で斗・木端は黒檀の漆摺り上げです。
磨き終了、11:32。 昼食を挟み北へ。午後一は正八幡は宮脇屋台蔵でした。
午後二はわたしの第2の(?)ふるさと、福崎高岡桜区です。
空き家になっていた母の実家がありまして、結婚後6年間住まわせてもらっていました。
その間地区の皆さんに良くして頂いたご恩もあり、
毎年「宵宮出発ち前」という一番きれいな状態で本番を迎えて頂けるようなタイミングで磨かせて頂いていました。ですがこの年は第二土曜日である宵宮が9日。高砂の蔵を廻らないといけない日と重なってしまいました。
いくら早朝とはいえ無理があり前日のこの日となりました。
旧熊見の棟と聞いております。
磨き終了、15:37。
その後は、祭りのご縁がプライベートなお付き合いにまで至っている方々の待つ福崎井ノ口。
いつもありがとうございます。
そして再び宮脇へ、
電飾の総点検を頼まれていましたので電球交換・損傷ソケット交換のうえ最終チェックです。
それぞれの電球が金具に反射し、良い感じに照らしあってくれています。17:49。
この時点で別働隊が高砂に向かっていました。
ここのところ磨きにはわたしと岸本がコンビで行っています。ですがどうしても祭り日が集中してしまう昨今では二手に分かれてお伺いすることも増えてまいりました。
この日は叔父・明が高砂は戎町へ。その磨いているところに岸本を送り、この日最終で予定していた東宮町も叔父と岸本に任せました。
わたしは雨に濡らしてしまって、、とご一報頂いた飾磨の各屋台蔵の緊急対応に。
この日8日は飾磨恵美酒・浜の宮の宵宮当日です。たしか19時くらいから5台の屋台を磨き直しました。
過去最多、一日で延べ14台。 さすがにすこし疲れたような気がします。
10月9日(土)
多くの祭りの宵宮。北八代と亀山を父に任せわたしと岸本は高砂へ。
一軒目、照る照る坊主がいつも迎えてくれる中部連合です。
水切りの前をぐるり一周囲む地区の方自作のLEDバーがわれわれの行く手を阻みます。
ハシゴを屋台ではなく壁のほうにもたせ掛け、エイヤッと屋根に移ります。
上部の磨きは屋根に乗って、下部は欄干に立って手を伸ばすのが多いですがご覧の通り、この’バー’と水切りの龍がそれすらも阻みます。
もっとも磨きにくい熟練を要する屋根の一つです。
躍動感のある構図、素晴らしい表情の造り込みが冴える狭間彫刻。この迫力おそろしいほどです。
つづいてはお分かりでしょうか、幣額に見て取れます、
鍵町です。
紋も外しての磨きは何年ぶりでしょうか。紋の中の退色していない漆の色味と遜色なく磨き上げることができました。
32年前の漆塗りです。総反りの水切りが美しく優美。
こちらも、銘も光る素晴らしい狭間です。
磨き終了、12:34。外は土砂降りの大雨。
そのまま高砂神社に向かいます。境内から外に川のように水が流れ出してきていました。
正面からは入ることができず、脇に廻って神輿蔵へ、
合羽姿はご案内くださった方。 照明が暗かったので勘で磨き上げました。
そしてたしか、あらためてお伺いし始めて3年目の木曽町です。
全景。良い色がもどってまいりました。
いつも申しますが長らく手入れが遠のいていた漆も3回目の磨きくらいからしっとりとしたツヤ、肌がもどってきます。
16:14。
夜の磨きまで少し時間が空いたので曽根北之町屋台蔵にお邪魔しました。
漆塗り完成を以ってお納めしていたものの、金具や衣装も組みあがった全体像をまだ知りませんでした。
ちょうど金具の竹内さんが打ち付け作業真っ最中でした。
夜は毎年宵宮の晩も手入れの依頼を頂く甲・酒井村へ。
その作業中に加茂の方から宵宮で雨に濡らされたお電話があり向かうことに、
さらにその作業中に同じく亀山の方からお電話を頂きました。
雨対応は一人だったのですべて終えたころには日付が変わっていたとおもいます。
10月10日(日)
曽根北之町完成披露。光栄にも、お招きを受け感謝状を賜りました。誠にありがとうございました。
わが職場では妻鹿屋台の露盤彫刻組み上げを急いでおりました。
左は露盤内部の加工中。
出発ちや楼門前、仕舞う折の上げ下ろし時には頭にかぶり、頭の先と肩で担ぎます。
あまりに重いのでその頭が直接当たる部分に少し工夫をしています。
組みあがり。
大木光師によるもの。
すっきりとしたオーソドックスな中にも、射抜かれた的の表現などオリジナリティの見られる素晴らしい彫りにおもいます。
軽トラックの荷台にて。その大きさが伝わるかとおもいます。一番出た枝の端々で二尺七寸くらいあります。
祭りはハレの日。 金箔・プラチナ箔も眩しいくらい目一杯光らせての施工です。
10月11日(月)
すこしゆっくり目のスタートでお伺いしたのは広畑北野屋台蔵です。
いつも足場まで拵えてくださって有り難うございます。
こちらはいつも幣額の取り付けも併せてさせて頂いています。
また、この蔵は同じ屋根の下にもう一台別の村の屋台が納まる珍しい造りです。
12:15。
午後は荒川の三町を磨かせて頂きました。
10月12日(火)
朝一番で一宮町須行名に向かいました。道の駅併設の明るい大きな屋台蔵です。
午後は一路姫路の浜手方面へ。
まずは宇佐崎屋台です。
大迫力です。磨く面積の最も大きい屋台のひとつです。
足場はありませんので屋根に上がって磨きます。二年前まで13日つまり灘祭り宵宮前日に磨かせて頂いておりました。
その後、福泊・児嶋とお伺いしました。
夜空がまた一日に幕を下ろし始める頃、目をやると絵に描いたようなきれいな三日月が輝いていました。
17:57。
この日の漆磨きの予定をすべて終え、さいごは新調された妻鹿屋台狭間彫刻取り付けの段取りが待っていました。
彫りは露盤彫刻と同じく大木光師。右にお立ちなのがご本人です。
狭間製作の最終盤は凄まじい日々だったとお察しします。
三層の彫刻を微調整し組み上げました。強度の考慮もあり大工さんと私どもと集まり、進めました
そして屋台本体へ。
定位置に据える為の「狭間止め」という部材の位置決めです。平桁天板に固定します。
終了21:46。
この次の日は大塩・白浜を一気です。
ここまでで、お声掛け頂いている屋台の三分の二、延べ65台の屋台屋根漆磨きを終えました。
つづく。
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