甲八幡宮・重国屋台1
  
 重国屋台の漆塗り箔です。上内工務店製の二尺八寸の屋根で三段垂木、桝組み総黒檀、勾欄総ケヤキの特徴を持っています。
屋根は少し深めです。

 作業の様子をご紹介します。


 分解

 平成16年12月12日大安吉日の日曜日、青空の下屋台の搬出・お預かりいたしました。

 黒檀桝組み・ケヤキの勾欄なので少々しっかりとした重量です。

 さっそく次の日から分解作業に入りました。

中央の束(つか)と男柱でナット止めです。

シャフトも元の位置に戻るようにしています。

 色はもちろん木目も美しい黒檀の桝組み。ただし水に沈む木というだけあって相当な重さです。
四隅で25キロほどありました。

井筒の分解。木ねじは助かります。

屋台の井筒にはあまり見られない組みです。


 塗り

桝組・勾欄・井筒等

黒檀は漆摺り上げとしました。いわゆる拭き漆です。

適度の艶がでるまで繰り返します
黒味が増した桝型。

欠けているところ(左写真)は直します。

斗型は摺り上げですが肘木は塗箔することになりました。
堅地にて前面を盛り上げます。

斗組み肘木の一隅分、八本。
彫刻部は黒檀の色を生かしました。



 ←ケヤキの粧隅(正隅)彫刻は生地のままです。
 組んでいきます。

 井筒の平桁、天井の格子も堅地(漆による下地)仕上げです。

 スプレーによるサーフェイサー等の下地ならあっという間に済みますが、隅も角も丸くなってしまいます。
天井の格子は面取りの部分もあり堅地での下地は大変に手間の要る工法です。


 右写真→の左側、白っぽい灰色になっているところは研いだ後の部分です。

 四本柱・勾欄等のケヤキ部は木目を研ぎだしてから純国産透き漆を塗りました。

 平桁上面は艶消し黒漆塗りです。
 
 漆はさわれるぐらいに乾いてからもどんどん堅くなります。締まり具合を見極めてから研ぎ出し、蝋色(磨き)の工程で仕上げです。


屋根

 下地付けは、塗り面をつくることです。野地板の継ぎ目や微妙な凹凸に適切な処置を施し、なめらかな曲面をつくります。


 布を着せます。総才との境目もすっきりとしています。


 下塗り。


 中塗り、上塗り、蝋色と進みます。


 蝋色後の屋根鏡です。わかりにくいですが店の外の景色の映りこみです。
右の赤と黒の境界線が総才と屋根鏡との境目です。総才端が映っています。


 三段垂木に金箔を押していきます。





 つづきと完成後の様子は「重国屋台2」でご紹介します。




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