曽根北之町屋台 その2 11/11/4up <TOPにもどる>
2010年(平成二十二年)3月13日、に曽根北之町屋台をお預かりいたしました。
蒲団屋根屋台といいますと当店の100年を超える過去を振り返っても一台のみ、それも水切りのみを蝋色無しでといった仕事だったようです。このたびのご依頼は四本柱を除く、勾欄から屋根まで総漆塗りでした。それは蒲団屋台では初めてのことだと思われます。
お預かり、分解、下拵え、下地、塗り、組み立て、と作業全容を二回に分けてご紹介いたします。
その2として、今回は漆塗りから組み立て、完成までご紹介します。
その1、お預かり〜分解〜下地編は→こちら
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まずはこちらから。
前田貴史師による正角彫刻。
天然材料である膠による必要最小限の下地から、天然漆塗り。
金箔も漆による施工でご覧のツヤを得ます。
屋根本体
前回(その1)では堅地(漆による下地)付けからその研ぎまででした。
ここから漆塗り工程です。
左は黒・赤とも下塗りを終えた状態です。
塗り上がり、一定の締まりをみたあと天然の炭(油桐:左下に映っている黒いの)にてまた研ぎ下ろします。
角から左に映っている面が下塗り完の状態、角より右が炭研ぎ完です(灰色になっています)。
そうすると、下地工程での小さな凹みがあらわになります。そこを修正。
このあと中塗り、上塗り、蝋色(研ぎ出し、磨き)です。
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桁と、斗組を繋ぐ長い肘木(?)のあいだに、この支輪(しりん)がきます。
底を金箔、腹(側面)を朱赤漆、正面を金溜めとしました。金箔を施した後に透き漆を塗っています。
自分たちはあまり使いませんが「白檀塗り」とも言います。
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姫路の職場では塗り上がり、金箔も終わった斗組を、組めるところまで組んでおきます。
このたびは、肘木・斗型を黒漆塗り、皿斗を金箔としました。 |
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うまく組めるかかなり心配していた高欄も四人総出でなんとか組むことが出来ました。
とても部品点数が多く複雑な構造を、四辺をまず欄干だけで組み、歪まない様に持ち上げ、台のそれぞれのホゾにかちこんでいく。
どうしても多少できる塗り代(しろ)の誤差があるまま、それがうまく嵌るのか、心配はそこでした。 |
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屋根本体。漆塗箔完成し、垂木の金具も打った状態。
天地返ったこの状態で斗を組んでいきました。 |
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正角彫刻の龍は金箔後、彩色をしました。
この前の年の御立の露盤彫刻より若干明るめの青龍としました。 |
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正式な呼び名は分かりませんが先ほど触れた、斗組を繋ぐ肘木から組みます。
この面に天井が付きます。 |
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斗組拡大画像。 ご覧のとおりのツヤで仕上げました。 漆塗り、蝋色ならでは。 |
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一段ずつ大斗まで。 |
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あらかじめ別で組んでおいた井筒を載せるに至りました。
井筒平桁は、一段のため明るい朱赤漆塗りとしました。
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天地返った状態で組めるところを全て組み終えた状態。 |
角度を変えて。
桁と肘木のあいだの隙間に支輪が付きます。
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この夢前の作業場はチェーンブロックを備えています。それをうまく使いながら本来の向きに返しました。
尖った水切りの先に荷重がかかると絶対に傷むのでワイヤーや吊り紐を工夫し、ほぼ宙に浮かす形でうまくいきました。
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その水切り先端を守る部材を外します。
その1で書いた通り、作業始めこの部材の取り付けが一番にした作業です。
作業終わりもやはりここ。 |
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支輪はここで取り付けます。 |
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完成 漆塗り上がりの様子を大きめの画像でご覧ください。
下地にサフェーサーや電動ペーパーを使用するとこの平滑な面は出ません。
上塗りは、日本産100%研ぎ出し黒漆を使用しました。
木負いも蝋色してからの金箔押しで、ツヤ上げ施工です。
支輪拡大。オレンジ色といった印象です。
磨き上げた桁に垂木の映り込みが見えます。
高欄。
屋根と共通の赤いラインが全体を引き締めます。
作業前後の比較
総天然漆塗りによる重厚感。
ツヤ上げのハレの仕様ながら深みがある上品な仕上がりとすることが出来ました。
お納め
平成二十二(2010)年 九月吉日、漆塗り完成、お納め致しました。
10月9日。 高砂の屋台屋根漆磨きの帰りに寄らせて頂きました。
竹内錺金具の皆さんがちょうど打ち付けをされていました。
始めて間近で見る組みあがり完成時のその大きさに驚きました。
平成二十一年十月十日 完成披露
金具の隙間からちらっちらって見える漆がよく光っていてきれいで、、と仰せ下さいました。
またこの日、光栄にも感謝状を賜りました。
曽根北之町の皆様、誠に有難うございました。
その1、お預かり〜分解〜下地編は→こちら
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