平成二〇年・村廻り記5(10/16・17・18・19・20) 10月15日(水)、灘祭りお旅山屋台下り
10月16日(木)、晴れ。 さて本題、この日はあくる日17日からの祭りを控える英賀神社の各屋台蔵にお伺いしました。 一軒目は中浜屋台蔵でした。例年英賀神社宵宮前日午後、さいしょに行かせて頂いています。 ことしは朝一、8時過ぎに参りました。到着するとなにかいままでと屋台蔵の印象が違うのに気付きました。聞けば蔵に向かって右に倉庫を増設されたとのこと。ほぼ年に一回の訪問なれど意外に気付くものだとびっくりしました。 画像はありません。というよりこの村廻り記5はほとんど撮れていません、あしからずこらえてください。 つづいて二軒目、英賀東屋台蔵です。新しく広い蔵です。 平成18年に漆塗りをさせていただきました。 この日蔵を開けてくださったのがこの地区出身の彫刻師大木光師、 灘祭りの折に待ってるわと言って頂いてました。 滞りなく漆の磨きを終えたあと、なんと光栄なことにご本人が狭間彫刻を前にさまざま解説をしてくださいました。 ほぉー、うーん、、間近での迫力と、だからこそわかる繊細さ、緻密さ、当たり前ですがご本人のリアルな説明にため息だらけでした。 髑髏に見える波の話しとか。。 正直、もっと見ていたかった、もっと聞かせてもらいたかったです。 大木師、ありがとうございました、とても甘美な時間でありました。 11:27。 英賀宮西町、荒川・西庄と廻らせていただいてこちらはこの度はじめて呼んでいただいた英賀西屋台蔵です。 長いことなんもしてない、曇ってもとんや、とご連絡いただいてましたので、まず触らせてくださいと10センチ四方ほど磨かせてもらいました。 するとすこしツヤがもどったので全体を磨かせて頂きました。 この日の最終、五軒目でした。 10月17日(金)、晴れ。 英賀西浜屋台です。 このとし(平成20年)漆塗りをさせていただいたということで磨くというより、埃と手のカタ等を拭いに参りました。 元々の屋台蔵を改装されてこのたびの大屋台を仕舞われているため、特に天井に漆磨き作業ができるだけの余裕がありません。そのため祭り当日、中程までは蔵の中で、最上部と仕上げは屋台蔵を出されてから致しました。 陽の高く上がる前、早朝です。 上は作業終了時、7:32。 英賀西浜のみなさま、誠に有り難うございました。 つぎは広畑北野屋台蔵です。 この年の広畑天満宮の秋祭りは18・19日(土・日)に行われました。 こちらの蔵は珍しく二台の屋台が同じ屋根の下に収められています。 ブルーシートの右側が隣の村の屋台のスペースです。 毎年脚立を駆使して歩み板を渡してくださっているのでらくな姿勢で手入れできます。おまけに照明まで。 いつも良くして下さってありがとうございます。 作業終了9:40。 幣額のアップ、つぎに伺った高浜町です。 幣額も国産漆蝋色塗りでご覧の映りこみです。 北野町の明くる年、平成17年に漆塗りをさせていただきました。 この日三軒目終了、10:47。 このあと山陽自動車道に乗り一路西を目指します。 着いたのは城下町、赤穂城址です↓。 11:54。 塩屋西の屋台蔵には13時の予定。 屋台漆磨きの毎日、昼食はコンビニおにぎりですますこともままありますがこの時は時間の余裕と、なにより観光地特有の開放感に元来’チョーシ’なわたしは自ずとテンションが上がり、気が大きくなって目抜き通りに面した寿司屋に入ってしまいました。 ガラにもなく上にぎりなどいただきました。岸本は遠慮したのか海鮮ちらし寿司(?)かなんかを頼んでいました。 美味しく頂きました、けれど山葵の量でご主人と無言の意地の張り合い(決してもめたわけではありません)になり、その顛末に岸本と大笑い。いえ、詳しく述べるほどたいしたことではないんです。 すみません脱線してしまいました。 蔵には予定の15分くらい前に到着、まだいらっしゃらなかったので周辺を散歩していましたら、なんと。 蔵の前の橋の名前が「やたいばし」。 偶然?あとづけ?? 興味深い発見でした。 奥が屋台蔵、とてもおおきなものです。このときは画像がありませんが下は昨年お伺いした折のもの。
その後一旦職場にもどり夕食をとりました。 この日最終の町ノ坪屋台蔵には21時、 例年この時間まではさいごの肩合わせをされるそうです。 左は自然に目に留まった棒端(ぼうばな)金具、かなりの年代の重みを感じさせます。 古いものの持つ特有の存在感を前にして、形・意匠・仕上げ云々というより、 経てきた、積み重ねてきた歳月がそのものに別の感覚を刺激するエネルギーの類いを宿しているのではないかとおもうことがあります。 このときもそうでした。 島村棟梁の手による屋台本体、こちらにも存在感を感じます。 磨き終了、22:16。 10月18日(土)、晴れ。 8時前に向かったのは富嶋神社東釜屋屋台蔵。宵宮の朝です。 蔵の、高さ・間口ともすごいサイズに屋台がちいさく見えるかも知れませんがさにあらず、 人の大きさと較べてみてください。 こちらの露盤彫刻は小河義保師による龍と風神雷神図。 有名な俵屋宗達の風神雷神図を参考に平成17年に塗り箔・彩色をさせていただきました。 画像では分かりにくいですが四面に渡る雲一つ一つにも白の彩色を施しています。 擬宝珠には昇り龍が見えます。 井筒は中を刳り抜かれ彫刻が施されています。 彫刻を浮き立たせるため刳った向う面に漆を塗り金箔仕上げとしています。 粧隅彫刻の龍には四隅とも龍の子太郎のような童子が乗っています。 面金総螺鈿。 朱漆塗り框・金箔の格子の太鼓隠しには二頭の獅子が遊びます。 漆磨き終了、8:47。
作業終了後、公民館二階にて川村刺繍さんによる幕の全容を見せていただいて感動したあと、失礼しようと外に出ましたら子供さんたちの太鼓の練習風景がそこに。 またまた良いものを見せていただきました。祭りって本当にすばらしいですね。 10月19日(日)、晴れ
10月20日(月)、晴れ。 この日は21・22両日行われる魚吹(うすき)八幡神社秋祭りに準備で網干の各屋台蔵を六軒廻らせていただきました。 こちらは五軒目、平松屋台蔵です。 魚吹・富嶋等の屋台においてはハシゴなしでの屋根への上り下りはとても難しいものです。 なんとか少々飛び上がる格好で上がれたにしても降りるのはまず無理です。 なぜか、この画像を見ていただければ想像していただけるでしょうか。 屋根に身一つで上がるには通常勾欄の最上段・丸の欄干に立ち、井筒端に足を掛け昇り総才に手を伸ばすのですが、 勾欄が東型の練り屋台に比べ寸法が小さく、而して屋根の水切りが大きく外に出いわゆるオーバーハングとなっているのです。 ちなみにこの平松屋台ではその’出具合’が大きく、「上り」も無理です。 胴が締まり軒がよく出ていて昇り総才に手が届きません。 以上、裏話でした。 漆磨き終了、17:47。 独特の勾配の屋根のシルエット、黒檀と金箔の枡組みも特徴的です。 平成20年の秋祭り準備の屋根漆磨きとしては実質最終の屋台となりました。その数延べ80台以上。 一ヶ月は長いようで私共にはあっという間の祭り月であります。 お伺いしたすべての村の皆様、誠に有り難うございました、こんごともよろしくお願い申し上げます。 番外10月22日(水)、曇りのち雨。 連日つづいた快晴もこの魚吹の祭り本宮に屋台を濡らす雨が降りました。 まだ降る前の12:10。 平松屋台。 おなじく西の馬場12:26。 左から天満・西土井・坂出の各屋台です。 20日の漆磨きではこのほか宮田・津市場北の各屋台蔵をお伺い致しました。 |