大塩天満宮・北脇邑屋台漆塗箔その1



 平成19年9月23日、大塩北脇邑屋台の漆塗りが完成しお納めしました。


 勝原区朝日谷の棟梁米田氏による製作。
彫刻は高田の前田氏、金具は竹内錺金具店さんが手掛けられています。

 写真は大塩本宮境内での一枚です。とても青空のきれいな日和でした。



 この項では屋台を部分ごとに分けずに、ほぼ時系列に沿ってご紹介致します。


 平成18年12月初旬、棟・勾欄等をお預かりしました。
 柱芯の寸法以上に屋根(屋根鏡)が大きく見える棟です。

 作業は分解から始まります。
井筒・斗組をはずし個別に分解、
天井は先に外せる場合と、井筒を外さなければ外せない場合があります。

その後紋木(もんぎ)を外します。まれに紋木が鏡に木ネジでとめてあることがありますが、その場合はシャフトとナットにこちらで置き換えます。
漆塗りが完了後、木ネジでは元の位置がわかりません。

 その分解作業を含め、実際に下地工程として漆を使い始めるまでに諸々の準備・補強作業があります。勾欄の欄干では塗りしろを削っておいたりします。



 二台の屋台が並んで作業をしていますといろんな部分に違いがあるのがわかります。
この画像でいえば奥の飯田屋台と比べると、総才と鏡の境のラインがかなり異なることがわかります。
 2006/12/11の様子です。



 
2007/3/28

下地を重ねていく工程です。
 
  
 
垂木周りも漆で下地を行います。

 
 2007/8/26


 2007/9/4、 下地が終わり漆を塗っていきます。小さい刷毛(はけ)で一本一本、かなり時間を要します。

 一方屋根鏡、
下塗り後の炭研ぎが完了した様子です。

 中塗り、上塗りと進みます。
 2007/9/6

 上塗りが終わっています。

 漆の締まり具合を見極め、また「研ぎ」に入ります。
このあとは磨き(蝋色:ろいろ)作業になるので研ぎも荒さの段階を分けます。

 画像は総才の腹の炭研ぎを始めています。

 閑話休題、

 この北脇屋台の作業大詰めを迎えた真っ只中の9/10、
アメリカからの観光客のお二人が突然お見えになりました。
お話を伺いますとラスベガスのスロットマシーンの製造会社の社長さんだそうで、
屋台や壁にかけてある写真をご覧になって「ワンダフル!」っておっしゃりながら
カメラに収められていました。帰られる際には握手を交わし、
「お互い職人ですね」的なことを通訳していただきました。

 帰国後には播州の祭りが土産話として伝えられ、
おふたりの身近な皆さんの知るところとなったことでしょう。
文化の国際交流といえば大げさでしょうか。

 右端に映っているのが案内をされていた三川屋の方です。

 
おなじく2007/9/10

 話はもどってこちらは斗組です。
 もう箔押しができる状態まで仕上がっています。

 どの屋台のご紹介でも重複しますが、正面を漆の下地で盛り上げます。
 当店の特徴のひとつです。


 白木のままで残す木鼻の彫刻部は汚さないようにカバーしています。
 

 
同日、

 四本柱、欄干ともに上塗りが終わっています。

 柱は国産透漆、欄干は国産黒研ぎ出し漆です。どちらも蝋色前の炭研ぎ待ちです。
 同じ日の店先、
屋根は蝋色作業に入りました。

 漆を摺りこんでいく様子です。 蝋色は、この漆の擦りこみと、手のひら(と指)での磨きあげを繰り返します。

 屋根の漆塗りの最終工程です。
  後日の店先、磨いています。
いろんな角度から見て艶を上げていきます。

 総才の肩も腹も総蝋色です。
完成が近づいてきました。

 

蝋色完了

 総蝋色仕上げとなっています。


 鏡のアップ↓。

 純国産研出黒漆を使用しています。



 2007/9/19

 二階の職場、丸い欄干を磨いています。

 天井の格子に金箔を押しています。これも細かい作業です。 金とのコントラストがつきやすいようにつや消し黒漆を塗っています。

 もちろんここもスプレーの吹きつけなどは一切しておりません。
 手間がかかっても漆の刷毛塗り、これは変えません。

 金箔が仕上がった斗組部品。

 映っている彫刻は今年度塗箔彩色をさせていただいた白浜松原の露盤です。 

 2007/9/20、斗組を組んでいます。
 金箔はひとつひとつ、つややかに仕上がっています。

 この特徴的な木鼻彫刻は「馬足の龍」というそうです。


 2007/9/21、 完成しました。



 幣額も全工程、漆による仕上げです。

 棟と同じ国産黒漆を塗り、蝋色仕上げで、金箔の部分は黄色い漆を塗り分けています。剥げたときに目立ちにくくなります。
 このあと金箔を押します。

 




 紋木の穴もない漆塗り完成、無垢の状態です。


 あらためて別のカメラの画像です。 その1ではここまで、作業途中の様子を紹介いたしました。

   その2では納入時の様子を含め完成後をご紹介します。



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