生矢神社・飯田屋台漆塗箔その2

 さる七月二十一日、飯田屋台の漆塗りが完成しお納めしました。
その1ではおもに棟の漆塗箔をご覧いただきました。この項では残りの作業と納品の様子をご紹介いたします。


斗組み


彫刻をできるだけ埋めないように下地は最低限の厚さで施し、
漆の下塗り・上塗りを経て、
一号色の金箔を押します。


金箔にも等級があります。
四号色よりも三号色、三号色よりも一号色、と金の純度が上がっていきます。
一号色のさらに上等の金箔もありますが一般的ではありません。

目・口には朱漆を塗っています。


小桝・大桝・肘木とも正面を盛り上げています。
これは[堅地(かたじ):漆の下地]を何回も重ねて、砥石で研ぎ形作ります。


研いで整形する前の大桝。
(これは飯田ではなく、荒川神社・井ノ口屋台のものです)











 組んでいきます。
 小桝48個、大桝4個、呼び名が分かりませんが彫刻の間にくる桝4個、肘木32本、そして粧隅彫刻8つです。








小桝まですべて堅地仕上げにより、
すっきりとした表面をつくることができます。



井筒








 国産透漆(すきうるし)で塗りあがった井筒を組んでいきます。井筒端が分割される造りでした。
平桁は下段は朱赤漆、上段は黒漆で蝋色塗りです。

 井筒の中が抜いてあるのが分かります。
軽くするのと、木の狂いを抑える効果があるそうです。



 棟と一体となった井筒。


勾欄

 勾欄の台の部分、布着せがすんだところです。



 蝋色仕上げによる艶やかな塗り面。 国産研出黒漆を塗っています。


納品

 平成一九年七月二十一日、お納めしました。



 下地工程が終了した北脇屋台とのツーショット。
 
  荷造りし屋台蔵へ向かいます。









 勾欄座面と勾欄掛けは艶消し黒漆塗りです。












 天井は蝋色仕上げのあとに金箔を押し鏡面となっています。天井抑え縁は赤漆塗りに面金としました。
 四本柱も井筒と同様国産透漆蝋色塗りです。



露盤彫刻




 粧隅などほかの彫刻部分同様漆塗りののち、金箔・プラチナ箔を使用しております。天板・框は艶消し黒漆塗りです。
正面は生矢神社の故事にまつわる場面だそうです。鳥居・石垣・燈籠もプラチナ箔としました。
 松の葉も埋まってしまうことなくすっきりしています。

 飯田の皆様、当店にご用命賜り誠に有り難うございました。 今後とも宜しくお願い申し上げます。


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