魚吹八幡宮・社務所その

 魚吹八幡宮社務所新築に伴って漆塗りのご依頼を頂戴いたしました。
旧社務所はかなり古いものだったらしく、他地方からの移築とお聞きしました。
このたびの新社務所はご覧のように立派なもので、しかももともと鉄筋での建造計画を方針転換し、
木造にこだわって建てられたそうです。
私どもの漆塗りはおもに玄関部分と二階大広間和室の床の間・床脇、書院造りの部分でした。

 作業の一部をご紹介します。

 平成18年5月1日、下見に参りました。

 11月9日、作業完了。



 大きな梁が圧巻でした。


玄関


玄関の虹梁と柱です。梁は栗、柱はケヤキでした。
拭き漆で仕上げます。

柱下部のアップ、割れが見えます。
この柱はどちらも毎日直射日光が当たります。
漆は紫外線に弱く、
傷みは避けられませんのでいずれかならず
手を入れないといけませんが、
少しでも保てるよういくつか工夫しました。

梁の彫り部分。
上部桝組みと蛙股彫刻も漆で仕上げます。

ここまでは作業前の様子です。

漆の下地を付け研ぎ,木目を出します。

漆を塗っては拭き上げる、の作業を繰り返します。



二階大広間
 二階は30畳の広間がふたつあり、その床の間・床脇を漆塗りさせていただきました。
 
 床柱・火灯窓等は現場で塗り、それら以外は部材をお預かりして自宅職場での作業となりました。



床板・床框 等

 


まず職場での作業の様子です。
季節は屋台等祭り物の漆塗りが大詰めを迎える8月でした。

 長辺二間の床板(実寸約400cm)二枚、同寸の床框二本、これらは新調です。それと一間(約190cm)の板四枚(うち新調は三枚)と「違い棚」三枚。
すべてケヤキで、木目を出し、国産100%の透き漆蝋色塗りです。
違い棚は旧社務所で使われていたものの塗り替えで、それらは「玉杢:タマモク」という特に木目の素晴らしいものでした。

二間の板は、あまりの寸法に職場に入りきらず(夢前工場も別件で使用中ということもあり)、自宅住居部分の襖・畳を退けてしまって臨時作業場とし、そこで上塗りを含むすべてを行いました。



 一間の板。(写真は新調の三枚、残り一枚は塗り替え)



これは一間の板の方です。木目を出し終え、下地ののち
漆の下塗りがすんだところ。

この板が旧社務所で使われていたものの塗り替えの一枚、
床脇天袋の地板です。この面が下を向くわけです。
上塗りがすみました。
よく締まらせてから蝋色(磨き作業)です。

蝋色終了し納品。
前框も蝋色塗りです。

四枚、軽トラックの荷台にぎりぎりです。

こちらは二間の板です。上塗り終了。
透き漆を均一に塗り上げるのは簡単なことではありません。
ムラがあれば色味の違いで一目瞭然となります。

蝋色もおわり完成です。

床框も同様の塗りです。
床板と同じ厚みで漆が塗られていないと
二つが並んだとき色が合いません。
今回のような広い面積の透き漆塗りには
特に細心の注意が必要です。

前述の「玉杢」の違い棚です。
小傷など傷みが見られました。

上塗り終了。
蝋色前の研ぎに入るところです。

玉杢はいわゆる木の性が悪く
歪みは致し方ないところです。



 下はこの項冒頭と同じく下見に伺った5月と完成を見た11月の二階の模様です。

 → 

 写真が多くなりますので、現場での火灯窓の作業風景や完工後の詳しい様子は別ページでご紹介します。


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