獅子頭の修理
祭りには欠かせない獅子舞。観衆を魅了する華麗な舞い、それは時に激しく傷みは避けられません。その獅子頭の修復です。
当店ではひびが入ったり、割れてしまっているものでも全くの元通りに修復いたします。もちろんパテなどの化学材料やウレタン・カシュー等の塗料は一切使用いたしません。
下地直しから下塗り・上塗りすべて天然漆によるものです。漆ならではの深み、艶やかな仕上がりにご好評を頂いております。
実際の作業を、工程を追ってご紹介致します。
作業前
お預かりしたときの状態です。この獅子頭はまだ普通の傷みで、なかには寄せ木の各部品の接合部分ほとんどが割れてしまっているぐらいよく傷んだものあります。
木地修復・補強
傷をきっかけとして浮いてしまっている塗膜は、下地ごと一旦すべて剥離します。
割れには木を埋めてしっかり接着します。
内側には適宜補強を追加し、欠けた歯があれば作り直します。
下地修正
木地の修復が済むと下地作業に入ります。下地は堅地(うるしの下地)で行います。
本来あるべき平滑な面にならしていきます。
下塗り
砥石で研いだあと漆の下塗りです。ベンガラ漆を塗ります。
下塗り後、さらにこまかくうねりや凹みを拾い、下塗り面を研ぎます。
上塗り
本朱漆を上塗りします。金箔を押す部分には剥げたときに目立たないように黄色の漆を塗り分けます。
黒い部分を塗り進め、最後に金箔を押します。金箔を先に押し、そのあと朱を塗っていくこともあります。
付属品
目の金具は磨きだしてから金箔を押します。毛耳も作り直します。
完成
カシューや合成塗料とは一味も二味も違った天然漆特有の濡れたような光沢に仕上がります。
金獅子頭の修理
祭りには欠かせない獅子舞。観衆を魅了する華麗な舞い、それは時に激しく傷みは避けられません。
その獅子頭の修復です。
当店ではひびが入ったり、割れてしまっているものでも全くの元通りに修復いたします。
もちろんパテなどの化学材料やウレタン・カシュー等の塗料は一切使用いたしません。
下地直しから下塗り・上塗りすべて天然漆によるものです。それは特有のなめらかな仕上がりを生みます。
作業前
お預かりしたときの状態です。この獅子頭はまだ普通の傷み具合です。
以前に施された修理の折りの塗り面が見えています。
アゴや目など分解し、まずは汚れを落とします。
下地修復・漆塗り
亀裂の入ったところや、下地から浮いてしまっているところを剥がします。
激しい衝撃などでおおきく破損して、強度不足とあれば補強します。右写真は本体右側の取っ手部分。
当店のほかの作業例におなじく、堅地(かたじ:生漆と砥粉を混ぜた下地)でくぼみ・うねりを補修していきます。
何度となくきれいなラインが出るまで繰り返します。
傷みと、過去の修理で歪んだシルエットを本来あるべき形に近づけます。
アゴも均していきます。ほぼ全面に渡って堅地がつきました。
漆の塗り面には漆の下地は、喰い付きの面でも優れています。
下塗りののち、黄色の漆で上塗りします。
写真では茶色に近いですが、漆が乾く初期の色の変化に伴うもので、徐々に色は抜け黄色にもどります。
金箔がこすれて剥げても目立ちにくくします。
箔押し
漆の塗り面の具合を吟味し、金箔を押していきます。このときも当店では漆を使って金箔を施します。
化学的な箔押しの材料は比較的簡単に箔を押せるのですが何年かのちムラが出ることがあります。
金の色みによってオスメスをつけるというご注文にもお応えします。
1枚目の写真では左、2枚目の写真では右が、微妙な差ですがすこし赤みのある金色をしているのがお分かりいただけるとおもいます。
付属品
目の金具は磨きだしてから金箔を押します。この項の修理例の金獅子はプラチナ箔です。毛耳も作り直します。
完成
毛を整え、足りないところを植えなおします。黒漆・本朱漆で渦や口、目の周りを塗り完成です。
歯の部分はプラチナ箔を施しています。
深みのある金の色にご満足頂いております。
平成17年度にさせていただいた甲神社金竹の金獅子です。梯子獅子が有名です。
誠にありがとうございました。