魚吹八幡宮・平松屋台2 経過 お預かりして3ヶ月、平松屋台の漆塗りは日々すすんでおります。現代の流れである楽な方法に逃げず、昔ながらの手間のかかる作業内容ゆえその歩みはゆっくりとしておりますが。 すべての面においてなにより「漆」という天然材料が優れているとはおもっておりません。効率(コスト)という面でははっきりと劣っているでしょう。 しかしながら、伝統の技法をもって仕上げられた工芸品を望む方々はどんな時代になっても必ずいらっしゃるはずです。そんな要望に胸を張って応えられる存在でありたい、私どもはそのために姿勢を変えてはいけないとおもっております。 当店のことをご理解戴き、ご用命下さる皆様に日々感謝いたしております。 屋根の桝組の彫刻。 ケヤキです。 可能な限り彫刻をころさないよう塗ります。写真は下塗り。 手間の要る屋根の桝組み(ますぐみ)。 何度となく漆の下地を重ねふくらみをもたせます。 下写真:下塗り後修正。 ←屋根。布着せを含め下地作業がおわり、研がれた状態。 屋根鏡下塗り完了。 漆は、木地の上にいきなり塗り始められるものではありません。漆塗り作業のほとんどが実は下地を作ることに割かれます。 下地をつくること、とは塗る面を作ることです。 「塗り」はさいごのさいごです。さらにそのあと磨き(蝋色:ろいろ)が待っています。 腰組み・高欄・井筒・台等。透き漆を塗るところは木目を出しておきます。塗り作業待ち状態。 屋根の桝組みつづき。 桝(ます)が黒檀ゆえ念のため仮組み作業をしています。黒檀は堅いですが裂け(割れ)やすいものです。 小桝は144個、肘木は72本。腰の桝組みは別です。 割れた桝は補修あるいはあたらしく取り替えます。 腰組みの肘木・獅子の彫刻です。 咥え(くわえ)の彫刻。 春の完成に向け作業はつづきます。 <もどる> <TOPにもどる> |