日々仕事をしていますと、業界内いろんな方との関わり合いがあります。祭りものは特にそう。
屋台が完成するには主に六職の職人がおります。大工さん・彫刻師・錺金具師・縫師・太鼓師・塗師(ぬし)。この六職の横の連携は密で、同世代が多いこともあってか心安く(⇐私が思ってるだけではないことを祈ります)、しょっちゅう行き来しています。
きょうはたまたまですが午前と午後に別の大工さんが用事で来られました。
業種は違えど手で物を拵える点は共通。なのでちょっとしたやり取りも楽しいものです。わかりますわかります、ですよね。仕事に向き合う中で起きるあるあるや、つまずき、ざわざわすることなど共感することだらけです。
そして、なるほど、へーそうやったんすね、と興味深く勉強になることもしばしば。
今日教えてもらったこと。午後に見えた大工さん。
これなオトンの形見の鑿(ノミ)や。(柄を見せて、)見てみ、これがホンマの黒檀や。○○(先日話に出たとある対象)とちゃうやろ。
あーー、たしかに。色味がちゃいますね。あと、漆を一回摺ったんかとおもうようなツヤですね。あ、それは使い込んではるからか。
それはそうやな。(笑) あとな、ココ見てみ。ええ鑿はな、ハガネが両端にいったらちょっと巻いとんねん。
え、巻く??
おう、(鑿の葉の部分の両サイドを指さして)ほらココとココ。ちょっと盛り上がっとうやろ。
——刃の切っ先に色の違う部分(層)があり、それがハガネであって、一見均一な層に見えて、よく見ると確かに両サイドに行くにつれ色の変わった部分が分厚くなってます。
あーーーー、わかりました。ほんまっすね。ほな鍛冶屋さんが意図してそう造ってはるんすね。知りませんでした。
これな、確かによー切れるわホンマ。
隅に掛る応力が間の箇所よりも強いのでそうなってるのかなと想像しました。
その大工さんには先日屋台各部の寸法の割りの関係性について初めてのことを教わりました。
『垂木の巾が裏甲の出と一緒。垂木の巾の倍が隅木の巾。垂木の高さの倍が軒桁の厚み。』
とのこと。聞いたことありませんでした。へーーーー、へーーーーー。言いまくりました。
何のことか全部お分かりになる貴方はプロか、そうじゃなければ屋台が好き過ぎます(笑)
この話も鑿の話も説明の図を作ろうかと思ったんですが、ここのところ急ぎの作業が多く時間に余裕がありません。気になる方はまた直接お話させて下さいm(_ _)m
おかげさまで日々忙しくさせて頂いております。現在7つの案件を進めております。祭り関連は4つ。直近の様子をご紹介致します。
こちら、先日雪の日の紹介で触れた八反田屋台。その後の分解を進めています。四本柱は単体で独立しているので先行、現在木目研ぎ出し後、下地完です。
つづいて福崎西野屋台。年度末が締め切りという超超大急ぎの漆塗りです。現在下地工程の7割ほど。この写真は二度目の下地研ぎで、あるべき面の連なりが大方整えられてきている様子です。奥の職場で、高欄は漆の中塗りまで完。
構屋台。西野さんの大急ぎの関係で預かったままでしたが、ようやく昨日触ることが出来、紋木を外した状態です。来週から内部補強を開始する予定。こちらも柱は下地完、高欄も木地拵え(漆の塗り代分の削り作業)と木固め(生漆の含浸)は終えています。
さいごは福泊屋台狭間彫刻漆塗り箔彩色修復。12月初めから木地修復・旧塗膜の剥離・適宜下地・漆の下塗り上塗りを経て、現在箔押しに入っています。今月末には彩色に入ります。なんとこちらも年度内納め。
いつもご覧頂き有難うございます。
ご依頼を頂けることに感謝しながら、コツコツ頑張って参ります。