三月も半分を過ぎ、今年お預かりしている屋台の納入まで半年を切りました。
泰然自若、とはまだいきませんが、焦らずじっくり、日々コツコツと進めてまいります。
年度末・年度初めということで外出する用事も多いので、効率的にこなすことが必要です。
元来、頼まれごとを断れない性格で、なんでも受けてきた結果が今。自己責任です。この仕事を生業として23年、今までもなかなかのハードな状況も乗り越えてきました。
気合を入れて、全部を真っ当にやり抜けるように頑張ります。
さてこの仕事は職場での作業はもちろんのこと、現場の仕事も多くあります。
それは祭り前の屋台蔵を廻らせて頂いての手入れと、祭り当日の帯同です。
自治会や祭典から要請を頂いて、当日屋台に付かせて頂いているのは
恵美酒宮都倉屋台、灘の東山屋台・妻鹿屋台です。
祭りは氏子の皆さまが主役。わたしら職人は裏方です。
もちろん単について歩いているのではなく、屋台の保守点検・緊急時の現場修理が目的です。
特に妻鹿屋台は皆さまご存知の胴突きがあるので本当にいろんなことがおきます。
その中でも去年の祭りは経験のないことが起きました。
15日の宮の前で擬宝珠の芯木が折れてしまいました。
おりからの雨。
一番最初に思ったのは、屋根の側に残っている芯木が抜けてくれるかどうかでした。
雨が降って芯木にまで水が回ると膨れて摩擦が増し、擬宝珠を二人で向き合って抱え込んで引っ張っても、なかなか抜けないことがあります。
それに加え、擬宝珠が飛んだので腕で抱え込むこともできません。芯木自体を掴み、引き抜くしかありません。
擬宝珠が飛んだまま練場を一周し、潮掻きのところで据えられた妻鹿屋台。
急いで屋根に上がり、抜けるか試みました。案の定、固くなっていて抜けない。
通常、紋の上や総才の上に立ち、抜くのですが、力が斜めからになりびくともしませんでした。
どうやっても抜けない。
仕方がないので露盤の天板の上に立ち、真上から垂直方向に一気に力を込めました。
すると、何とか抜けてくれました。
25年付いてますが露盤の上に立ったことはさすがにありません。
想定外のことが起こるものです。
その時の写真がこちら。とある方から頂きました。
この芯木の赤丸のところを握って抜いたわけです。
そうしているうちに、スペアの芯木をお願いしていた大工さんを含め、連絡を回していた職人衆が屋台そばに集結し、
5分か10分も掛からなかったように思いますが、その場で直すことができました。
ちなみに妻鹿屋台には大工さん3人、金具師さん3人、彫刻師、我々塗師3人の10人体制。
何が起きるかわからない妻鹿屋台ですが、付いている職人で大概のことは対応します。宵宮の晩は持ち帰って修理もします。
氏子の皆様のええ祭りのために少しでもお役に立てるということ。
それが我々裏方の祭りです。