漆塗り 屋台

御幸町屋台

 

本日、飾磨恵美酒宮 御幸町屋台をお預かり致しました。
屋根の漆塗り直しと、付随する各所の漆塗りと箔施工です。

このたびは、屋根鏡・昇り総才は下地を含めて全工程漆塗り新調です。
かといって、下地を木地まで剥離あるいは削り出すというようなことは現実的ではないので、この場合木地自体を触ります。
(下地をめくらずそのままで、旧の上塗りの上に塗りだけを重ねて修復する場合は『塗り替え』と呼んでおります。)

ということで、まずは大工さんによる野地板の張り替え作業からです。

 

こちらは10月下旬、大工さんに搬入時。作業前です。

 

昇り総才を外し、野地板を切削します。

 

野垂木についても新調しますので取り払います。
過去一度だけ野垂木を再利用して野地板のみの張替えで塗り直したことがありますが、通例、野垂木もさらにします。

隅木、軒、水切のみになった状態。
ここから再構築します。

 

野地板を貼っていく様子。

 

昇り総才が取り付けられました。
当初昇りは現状のものを補修して使用する予定でしたが、役員の皆様と協議の結果新調致しました。精度の面、傷み部分の補修の手間、強度等勘案した結果です。

 

露盤受けの部材取り付け、紋木の穴加工を経て木地修復完成、
今朝うちの職場に預かりました。

張りの比較的浅い肩と相対的に伸びやかな印象となっている水切りは横方向に大きく感じられ、珍しい総反りのきれいなラインが、なお一層優美な雰囲気を醸成しております。。

 

これで今年度の全ての屋台のお預かりが完了しました。
季節も進み、朝晩の冷え込み以外は日中は暖かくなり、漆塗り作業が捗る環境です。
腰を据えて、秋まで半年、じっくり丁寧に作業を進めてまいります。

 

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さて久しぶりの更新でした。

確定申告や、いろいろお受けしている地域の役の年度末所用でバタバタしていたうえに、本業も一日でも早く、という作業が詰まっておりました。もちろん前述のとおり漆塗り本番の時節柄、これからも秋まで時間に余裕がありません。

こんかいのHPリニューアルに伴って、この日記ページも刷新、スマホからも更新できるなど便利になったものの、いかんせん無い袖は振れんということで、限られた(ケツの決まった)時間を有効に漆塗りという主体作業に振っていかねばなりません。

とはいえ、心まで余裕がなくならないように。コツコツがんばります。

 

開きがちになるとは思いますが、ほったらかしにはしませんので折に触れ覗いて頂けましたら幸いです。