日本は戦後国民主権となりました。言うまでもなく天皇は象徴の存在となられました。今上陛下は126代であられます。いままでの126代の天皇がすべて完全無欠で、聖人君子であったか、というとそれはもしかしたらそうではなかったでしょう。けれどどの御代(みよ)にもこの国には大和心があった。大和心とは何か。それは和の心であり、信頼しあう心です。
どの御代にも大和心があった、その証拠はあるのかと尋ねられたら私はあると思っています。それは、この日本がこの国体で存続している、ということです。もし『信頼しあう統治』が気に入らないとか不具合があったなら、例えばフランス革命のように、中国で言うと共産党の建国宣言のように、体制が取って代わられていたはずです。
なぜ126代も天皇の御代が続いたか。そこには大事な、忘れてはいけない普遍性があるからだと思っています。
「権力」と「権威」を別のものとし、為政者を天皇が任ずるという世界に唯一の形は世界最長の国家を育みました。
いま戦後80年、国内では社会構造に様々な歪みが大きくなり、世界情勢においては未だ覇権主義が蔓延っています。そんな昨今、我々は今まで以上に古来からの心の在りように立ち返るときが来たのではないでしょうか。
大和心。それは、自分の幸せを願うのと同じように自分以外の人の幸せをも願う心です。