屋台屋根の漆塗り。
木固めのあとは、ようやく下地に入っていきます。
生漆(きうるし)。
ウルシノキから採取した漆からゴミをとったものです。
先日のNHKプロフェッショナルで放送されていた日光東照宮の現場も全てこちらの漆でしたね。京都の堤浅吉漆商店さんのものです。堤さんは漆の精製業者さんです。
経験に基づいて地の粉・砥の粉その他と練り合わせていきます。少々労力が要ります。
練り上がった堅地(かたじ)。
屋台屋根は面積が広いので大量の堅地が必要です。
塗師によって様々な手法があるようですが、うちの漆塗りの下地は全てこの堅地を使用します。(彫刻は除く)
それは、『下地も漆』というお題目のためではもちろんなく、仕上がりや耐久性を鑑みて堅地が一番優れているという判断からです。さらに言えば、歴史がある。
お手軽な化学材料は仮に優れていたとしても、長い時間が経過した時の検証が到底少ない。
コスト削減よりも仕上がりが優先。
それが私どもの姿勢です。
この堅地を、あいだに麻布を挟みながら、ゆっくりじっくり20層以上重ねていきます。
ここまではガマンの日々ですが、ここからはいよいよ進んでいくなぁ、と実感できる工程となり、テンションが上がってきます。
さて、まもなくお納めする漆塗り修復のお仏壇。珍しい狭間彫刻が付いています。
中央に対の龍が飛んでいます。
祭りの彫刻を見慣れている目にも、とても良い感じです。
お納めしましたら、またご紹介させて頂きます。