複数のご依頼が同時進行しています。
昨年来修復作業を進めておりますお仏壇、
漆の上塗り完了から、蝋色(ろいろ)と呼ばれる磨きの行程に順次入っております。
蝋色とは、塗り上がり硬化した漆の表面を炭(油桐)で一旦研ぎ下ろし、再度漆を延ばす・磨くを繰り返して、鏡面仕上げにする手法です。手間はぐんと増えますが、艶やかな肌となります。
宮殿(くうでん)の屋根は金箔押しが終わり、作業完了。とても煌びやかに上がっています。
各段周りも上塗り・蝋色のあと蒔絵も仕上がっております。
来週以降順次組んでいきます。
祭り屋台も少しずつ進んでいます。
屋根本体もさることながら、今日は各部材のご紹介。
こちらは津市場北屋台の斗組。下地の盛り上げ、研ぎ、漆の中塗り上塗りまで進んでいます。下に修復中のお仏壇の宮殿柱が見えます。巻き下げの彩色も完了しています。
この大量の斗組は曽根南之町屋台の腰組のもの。ケヤキなので、まずは木目の研ぎ出し作業です。なにせ数が多いので、しばらく続きます。
曽根南之町屋台屋根本体は水切り角を保護する部材を付け、木固めをしました。
木固め とは、白木の木地に生漆を吸い込ませ、堅地(漆による下地)を重ねていく素地を作る工程。
堅地の食い付きを良くするのと、もうひとつ役目があります。
漆は塩気等があると硬化しません。この木固めをすることで、塩気や汚れなどにより、漆の硬化しないところをあぶり出します。その硬化しないところだけ色付きせず分かるのです。
もしそんな箇所がある場合は木地の表面を鉋等で一皮削り、硬化するようにします。
漆をうまく硬化させる。
これは塗師にとって基本であり、本分です。