3月26日日曜日、西野屋台をお納め致しました。
文化庁の補助事業のため、年度内完成が必須でした。過去に経験がない短い納期に対応するため、各種工夫を講じ、なんとかこの日を迎えることが出来ました。
完成に至る、仕上げの段階の様子をご紹介します。
漆の上塗り完了後、程よく締まらせた状態。
炭研ぎ開始。漆の塗り面は炭で研ぎます。
材はアブラギリ、
通称駿河炭(するがずみ)と呼ばれてます。
刷毛目やチリの痕を下ろして、
平滑にしていきます。
駿河炭で研いだ後、もう少し
細かい研ぎを施します。
この研ぎを蝋色(呂色:ろいろ)に向かう研ぎ
なので、蝋色研ぎと言います。
蝋色研ぎ後、
生漆を薄く広げ拭き上げます[漆摺り]。
摺った生漆が良く締まったのを見極めて、
荒磨き。
胴擦り(どうずり)と言います。
胴擦り完了後、再度生漆を摺ります。
そして手磨き。
これを蝋色と言います。それを適宜繰り返し。
画像は水切り部分。
高欄欄干、蝋色完了の様子。組み上げます。
座面は艶消しの黒漆塗り。
こちらは塗ったままの仕上げです。
これを『塗り立て』『立て塗り』
あるいは『花塗り』と言います。
再び屋根、蝋色完了の様子。
曲面をきれいに仕上げるには色んなことに
留意する必要があります。
完璧には出来ません。一生修行。
錺金具師の藤本博さんが親方の息子さん、
竹内琢馬くんと共に、垂木の金具を打ち付けに
来て下さいました。
ほとんどの場合、垂木金具は
うちの職場にて打たれます。
屋台蔵で、となると上向きですし
とても大変な作業となります。
さすが錺(かざり)金具というだけあって、
取り付けられると煌びやかさが際立ちます。
斗組・井筒・天井を組み、完成。
天井は朱の鏡、朱漆の蝋色仕上げです。
天井押さえ縁と台輪下段は
色を変えさせて頂いています。
ベンガラ漆に面金と朱赤漆。
改修前はどちらも黒でした。
お納め当日が雨で、その濡れた痕処理と
少しの部品取り付けに、
昨晩御蔵に伺いました。
沢山の釘痕があった水切りも
すっきりと仕上がってくれました。
[以下過去画像]
さて、このたびの改修事業では、福喜建設さんにて泥台・担棒も新調されています。
来る4月30日に完成式を催行されると
お聞きしています。
前述のようにお納め当日はあいにくの空模様。けれど雨は『降り込み』といって、福が振り込むとも言います。
西野の皆様、おめでとうございます。
このたびはご用命賜りまして誠に有難うございました。
追伸、このお納めに向けてここのところプチ9月状態になっていました。
またこの職人日記も通常運転していきたいと思っています。