狭間彫刻修復 大塩西之丁(14/9/22)     (TOPページにもどる



 本番10月直前の時期は彫刻等の修理をすることが多いです。


 様々な屋台彫刻の修復ですが
こちらは先日お納めした大塩西之丁 狭間彫刻です。


とても珍しい丸彫り(付け木が無い)彫刻です。
よく透かされた構図であるということや
木の経年変化などもあり傷みが生じます。





修復の様子を少しご紹介致します。


このたび大きく木地の修復を伴ったのはこちら佐久間玄蕃の面、
赤丸で囲った箇所に狭間本体木地の木目に沿った
割れが生じておりました。



 細い赤丸で示しております。
割れそのままの状態では接着剤を奥まで充填することが出来ないので、

 分厚いめの鋸、
今回は金ノコを入れ
割れ目を少し拡げます。
 そこに厚さを調整した
経木(きょうぎ)を挿し込みます。
また強度を万全にするため、赤線で示した角度で狭間の木目と直角に棒を埋め込みました。

 
  この部分も同様の手法です。
ここは上部の彫りの形状が尻尾の先ということで、
直角の棒を立てるための穴を開けることが出来ず、
経木のみで強度を持たせます。

 こちらは馬の前足。
以前も直した足ですが、掛かる力が集中するようで、前回とまた少し別のところで割れていました。
 棒を挿したいとおもったところ、運よく延長線上に彫りの空間がありました。
ただ起点となりうるような場所は一点のみ。慎重に、30cmくらいのドリルで針に糸を通すように穴を開けます。

 角度にも余裕はほぼありません。

木が弱くなっていてドリルが逃げようとするのを補正しながら、なんとか思ったところに穴を彫ることが出来ました。





裏からの様子。
経木を使うことで完全に接着剤を行き渡らせることが出来、
確実に上下を繋ぎます。
縦の棒も、しっかり構造を支えられる位置を吟味して
埋設出来ています。



しっかり固着したのち、余分な木を整形し、
彩色(さいしき)修復。


ここには経木を挿していませんが、破断した面積が小さいので
棒の下穴から接着剤が行き渡り、しっかりと直すことが出来ました。


その他の三面はほぼ金箔の繕いで修復完了です。




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